子どもが心身ともにバランスよく成長してゆくには、園や家庭とはまた違った場所があるということも、大事なのではないでしょうか。たとえば、お稽古通いもそのひとつ。子どもにとっても親にとっても、適度なお稽古は、息抜きと暮らしのアクセントになるはずです。選択肢はたくさんあるので、子どもの個性に合ったジャンルを探してあげたいものです。 ここは、幼稚園児から小学生までの子どもたちが、遊びながら「表現すること」に親しむ美術教室です。30年以上にわたって教室を主宰されている造形作家の都築房子先生に、お話を聞きました。 教室では子どもたちが手に手に絵筆やはさみを持ち、課題の作品に取り組んでいます。何かを作ることは楽しいんだな、こんなことを子どものころやってみたかったな、と思うような光景です。 基本の説明を受けて、作り始めると、集中して最後までがんばります。 「絵や工作は、柔軟な感性を育てる気持ちのゆとり。うちは絵画専門の教室ではなく、いろんな画材にふれながら、子どもたちの自由な発想や心のしなやかさを育てる場です。本格的に絵画をやりたい子は低学年でも指導しますが、大人向けの教室も開催しているように、いわば生涯教育の一環と考えていただければ。」 都築先生がこれまで見てきた子どもたち、大きな変化があったのはむしろ親の世代だそう。お稽古通いをどうとらえるかは、社会状況につれて変わるけれど、子どもの特質は普遍的なものだと考えています。 「子どもたちは大人をよく見ています。ここで親や先生ともまたちがう大人と出会い、ものづくりの楽しさ、ほめてもらえる喜びを体験し、幸福体験が増えてゆくことが大切です。その気持ちを大人になってからも思い出し、苦しいことを乗り越えるエネルギーになればと願ってきました。」 月がわりの教材はスタッフの手づくり。代々のスタッフが蓄積してきたノウハウが生かされています。 手近な材料で作る絵やおもちゃは、お金で買えない宝もの。自分の手で作ったものは、他のものを作るヒントにもなります。ちょっとしたことで大きく成長したり、できることが増えたりする成長期の子どもたちに、それぞれの個性を生かせる学びの場となっているようです。 子どもたちの座る椅子やテーブルは、教室の手作り。